監督は、ベルリン映画祭の後に、ベイルートとレバノンに旅立っている。
目的は坂東國男と岡本公三に会うためだ。
インタビューで監督は、
●連合赤軍事件は特殊な人間がやった特殊なことではない。やりだしたらとことんまでやる、日本社会の縮図そのものだ。
●映画は青春群像として撮った。
●映画でのあさま山荘のなかの出来事は、日本赤軍が75年にクアラルンプール事件で奪還した坂東國男からアラブで話を聞いた(重信房子らに自己批判として全部しゃべっている)。
なかでも、ラストシーンで高校生から言われたこと(名場面です)が坂東にとって一番ショックだったそうだ。それが映画のテーマとなった。
などと述べている。
坂東に「あなたのおかげで、この映画が撮れたよ」とお礼が言いたくてね。でも、4日間、捜したけれど会えなかった。日本赤軍の本拠地だったベカー高原にも行ったけれど、やっぱり、日本人は1人もいなかったね。日本人3人でテルアビブの空港を襲撃し、1人生き残った岡本公三に会って、『実録・連合赤軍』のDVD見せましたよ。身じろぎもせず、ものすごい形相で見ていたので、僕は感想、聞けなかった。
岡本は今はレバノンに政治亡命し、アラブ人の夫婦に世話されて暮らしていますが、日本に帰りたがってますね。街を歩いていてもベカー高原に行っても「コーゾー」と人が寄ってくる英雄だけれど、言葉はしゃべれないし、仕事もない。あれじゃあ牢屋にいるのと同じ。「日本に帰ると、必ず捕まるぞ」と言っても、彼は「それでも帰りたい」って。刑を終えてる岡本をまた日本で裁くのはおかしいけれど、捕まることを前提にしてでも岡本をなんとか日本に連れて帰ってやりたい。反対が多くてもね。
(中略)
重信逮捕を、どう受け止めました?
あいつ、日本にいたのに一度も連絡寄越さなかった。「アラブに行ったときからの友達なのに、なんで俺にあいさつに来なかったんだ」と頭にきたけれど、賢い女だから、なんかあったら、後の面倒みてくれるのは俺しかいないと思ったんじゃない? 毎週のように、弁護士経由で手紙が来ますよ。
映画の軸を、重信さんの親友だった遠山美枝子さんにした理由は?
あの映画に出てくる若者で、僕がよく知っていたのは遠山だけ。「赤軍!PFLP世界戦争宣言」の上映会を開いたとき、炊き出しとかして遠山が一生懸命手伝ってくれたんですよ。重信から言われていたんでしょうけれど、その遠山が殺されたと知ったときの衝撃は忘れられない。……「若ちゃん、撮って」と、遠山に背中押された気もするね。重信たちは、アラブにいるときに、「連合赤軍事件は、自分たちを含めて運動やっていた人たち全員に責任がある」と言っていましたよ。
試写会では、団塊世代はただ目を伏せて帰っていくけれど、若者は涙を流して感想を話してくれた。今度、自民党の国会議員に見せるんです。どんな反応が返ってくるか、楽しみですよ。
絶望の中の光にも感じられた、「ハッ」とするあのラストのセリフが本当のことだったのは、感激もひとしおだ。
映画を見た人なら、納得することだろう。
岡本公三が「逮捕されても」帰りたいってのは理解できる。いつになるのか、時間はもう少ないのでは?
自民党議員の誰が見るのか、興味津々でもある。
ブログ「切通理作 中央線通信」にも興味深い若松監督の発言があった。
若松さんは、永田洋子が遠山美枝子に鏡を渡し、醜く腫れあがった顔を見せるという映画の場面は、「本当に醜いのは永田、お前なんだよ」という思いを込めて演出したと発言されました。
「殺した側も殺された側も被害者なのだ。どちらも悲しいんだ」と若い役者を演出する際に繰り返したという若松さんでも、やはりぎりぎりのところでは永田を許してはいないのだと思いました。
僕はロフトの平野さんの策略で(笑)いきなり感想を求められたので、「総括リンチから目を背けることなく、しかもそれだけに焦点を当てて断片化することなく、そこを真っ向から描きながらも、同じ彼らが権力に直接銃を向け、逮捕されるところまで描き切ったことに『やっと連合赤軍事件を描いた映画を見れた』と思った」と述べたところ、若松さんは「2・26事件でさえ権力に直接戦いを挑んだとは言い難い。あさま山荘は日本の歴史で唯一直接権力を相手に銃撃戦を戦った」と、そこは外せない部分だったと返答されました。
あさま山荘での銃撃戦は、2・26事件を越えた銃撃戦ってのは共感できるなぁ。
この視点ってのは、いままで無かったと思う。
かつても若松監督の行動のせいで日本赤軍メンバーが逮捕の危機に瀕したことがあったらしい。まあ監督が彼らにしたカンパの額や何やらを考えればとても文句は言えないでしょうが・・・
公安は暇だからなぁ。
・・・モノ凄い説得力。
確かに他にいくらでも似たような事あったよなぁ・・・
帰って「週刊朝日」読みます。
>公安は暇だからなぁ。
昨日たまたま通った大阪城教育塔前で行われていた某集会らしきモノ?に張り付いてましたw
人気が少なかったのですぐにわかりました^^;
中年と言うよりもう初老と言った方が良くて
「一体いつ買ったんだ???」って言いそうなショルダーバックかけて
集会みてたのですが、そんなに怪しそうな集会に見えんかったけどなー・・・
工作員でも紛れ込んでいたのか???
これって、教育勅語の遺産(?)ですよね。
管理は日教組が請け負っている。
日教組のどこが左翼なのか? ネトウヨに聞きたい。
という本の中に、遠山美枝子の最期の言葉がありました
「K子のように死ぬのはいやだもん、やだもん。お母さん、
M子は死なない、幸せにしてやる。ああ手が痛い、ウーウー。」
K子=小島和子 M子=本人(美枝子)でしょう
著者は事件当時の長野県警本部警備第二課長
S氏(佐々淳行)の記述は不正確である、とあとがきにあります
西荻窪に左翼運動博物館……
そんなのないかw
寺島しのぶさん、ベルリン映画祭主演女優賞おめでとう。
バンクーバーより先に金メダルをとりましたね。
藤純子さん以来のファンとしては、吉永小百合を破っての堂々の受賞おめでとう、というしかありません。
残念ながら、今回の『キャタピラー』には関われなかったけれど、『連続13人暴行魔』『衝撃 パフォーマンス』『実録・連合赤軍』『キスより簡単』と若松監督の傑作4本にそれぞれ、多少とも関わることのできた私としては、寺島さんの代理として受賞する若松監督の映像を見て思わず涙が出てきました。
http://www.wakamatsukoji.org/blog/2010/02/post_107.html
なんだか、江戸川乱歩の「芋虫」を思い出しました。
若松監督らしい、凄まじい内容に期待しています。
なんとなく自作の『日本暴行暗黒史 異常者の血』のリメイクのようでもありますが・・・
http://www.youtube.com/watch?v=ir4fby55EzI
今回は情報が事前にあまり出てこなかったので、よく判らないことが多いんですよね。トークショーで、御大から「次回は芋虫だ」と聞いたのが1年前だったかな。その直後からネットをチェックしていましたが、殆ど検索に引っ掛からない。撮影前の監督インタビューはありますが、構想が変わったりしている可能性が高い。かろうじて出演者の安部魔凛碧や篠原勝之のブログで断片的な情報を拾ってはいましたが、それでも判然としない部分が多いのです。まあ、それだけに楽しみなのですが。
脚本は「黒沢久子・出口出」だけど、今回の出口名義は誰なのかな。足立正生が噛んでいれば嬉しいのですが。
それにしてもネトウヨ君たちがバカ丸出しで反日、反日、と騒いでいるのが笑えます。
こんなのもYOU TUBEにありました。
若松監督は反日なんてケチなものでは無くて、反帝主義者であり、かつアメリカ合衆国から折り紙つきのテロリストなわけですが。
しかし、ベルリン映画祭の行われているベルリンは、1989年まで周囲を東ドイツに囲まれていたから、カンヌやベネチアより反体制的、反国家的映画にも賞を与える傾向が強いんですな。