2007年07月24日

映画「TOKKO -特攻-」 生きたかったよ 死にたくはなかったよ

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映画「TOKKO -特攻-」
http://www.cqn.co.jp/tokko/

日系アメリカ人の監督リサ・モリモトが特攻の生き残り日本人と特攻された生き残りアメリカ人に迫ったドキュメント。

いままでの「お涙ちょうだい」悲壮感だけの特攻映画とは違う。

これは、イシハラのセンズリ特攻映画とは違い、日本の明日を生きる若者や子供たち必見の国民映画。お子さんがいらっしゃるなら、是非観せてあげてください。




映画館は、渋谷の渋谷シネ・ラ・セット。正直、あまりに狭く貧相な映画館なのでガッカリした。札幌のシアターキノよりも狭い。
今後、上映館は増える予定ですがね。
http://www.cqn.co.jp/releaseinfo/#tokko

さてさて、内容は素晴らしいもので、インタビューされた特攻隊員は4人おられたが、中でも中島一雄さんの話がホンネが伺えて興味深かった。「生きたかったよ 死にたくはなかったよ」というのは中島さんの言葉だ。

彼は、ラバウルでの歴戦の勇士であった浜園重義さんと特攻当時は旧式となっていた九九式艦上爆撃機(ドイツ・ハインケル社のコピーといわれている)たった3機で沖縄に向けて出撃した。中島さんは後部の対空機銃を担当。操縦は浜園さんだ。
当然のことながら途中で米海軍コルセア戦闘機に遭遇(特攻機のほとんどは突入せずに撃墜されている)。
ラバウルで空中戦を数多くこなし多数撃墜していた浜園さんとしたら「特攻なんぞバカらしい。俺なら撃墜させてみせる」という考えもあったのだろう。「帰ろうか」と中島さんに言い、爆弾を投機、なぜか米軍が見逃してくれたおかげもあって鹿児島までたどり着き不時着することに成功する。

いままでの特攻映画だと悲壮感ばかりでイヤになるのだが、浜園さんや中島さんたちの行動が、やけに人間らしくて思わず笑ってしまった。

中島さんは、インタビューでハッキリと昭和天皇の戦争責任を糾弾しているし、「原爆被害者には申し訳ないが」と前置きした上で「これで死ななくて(特攻しなくて)すんだ」と本心を語っているのが良かった。

見る前は、インタビューの場面ばかりの絵図ラ的にツマラナイ地味な映画かも、と危惧したが、それは製作者によって発掘されたワシントン国立ライブラリー所蔵の貴重な当時のフィルムによって払拭されている。

特攻第一号神風隊の関大尉の別れの杯、特攻隊員に対する昭和天皇の「よくやった」というお言葉を隊員に紹介する隊長、「見事に死んでもらいたい」と訓示する上官、そして昭和天皇は大元帥であったことを再確認する馬に騎乗し閲兵する姿……驚きの映像が満載である。

私たちが問いたかったのは、その若い青年たちをこういう場に追い詰めた軍部です。その軍部は今、姿を変えてアメリカに現れイラクを攻めています。日本の過去を責めるのではなく、軍事主義、軍政権というものを考えていきたいのです(プロデューサー:リンダ・ホーグランド)



是非、文科省推薦とし、全国の小中学校で見てもらいたい。

TOKKO -特攻-@映画生活
posted by 死ぬのはやつらだ at 18:33| Comment(14) | TrackBack(3) | 映画/洋画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 絶対観ますよ!
 最後の「絵図ラ」で思い出したのが小林正樹監督の『東京裁判』(83年)。製作の講談社が「退屈させない」という一点以外すべて無条件に小林に委任し、4時間半の大作に仕上げた超ドキュメンタリー映画! 観てない人には是非オススメしたい。
 特に冒頭近く、いろんな戦場シーンの実写にかぶさる天皇の「終戦詔勅」。これが全文聞くとけっこう長いもんだという驚きのほか、こういう使われ方をすることでより戦争責任が鮮明になるという手法。悪く言えばプロパガンダ的効果だが(笑い)。
 もちろん、最後のほうでは「特攻」「原爆」があるわけで、ここだけみても凄いドキュメンタリーだと驚嘆させられました。それを思い出させてくれた一文でした。ありがとうです。
Posted by 本間康二 at 2007年07月24日 19:18
小林正樹監督の『東京裁判』(83年)は、ただいま全国のTSUTAYAでレンタル中です。
Posted by 死ぬのはやつらだ at 2007年07月24日 19:50
ウチ大阪なんですけど来月お盆前からの上映みたいです・・・
1館のみなのでもしかしたら時期的に混むかも知れないけど
イシハラのセンズリ特攻映画に1,800円つぎ込んでおいて
これだけスルー、というのではそれこそ「何してるんや・・・」
今度こそ楽しみにチェックしておきます♪

※折角ですから『東京裁判』もそれまでにTSUTAYA覗いてみます。
Posted by ひとのことはいいんだよ at 2007年07月24日 20:12
イシハラのセンズリ特攻映画の1億倍満足でき、しかも笑える場面がある特攻映画。必見です。

『東京裁判』の名シーンは、右翼思想家大川周明が裁判中、東條の頭を後ろからペシャリと何度も叩くところ。

これがキチガイの証拠となって、大川は無罪となったはずです。
Posted by 死ぬのはやつらだ at 2007年07月24日 20:20
>>管理人さま
大川のソレは、詐病…狂ったフリだったんですよね。そのくせナチ原珍太郎
吐痴痔はじめウヨクってのは、精神病者は穀潰しの無差別殺人犯・即刻処分!
ってホザいて憚らない手合いばっか…。
東条英機も自殺未遂の果てにGHQの手で助けられ、挙げ句処刑されてますよね。
自分自身こそが思くそ「生キテ虜囚ノ辱メヲ受ケ」まくって無様に殺され
ているんですから、やっぱウヨクってのには二枚舌が多いと思います。

「Tokko」は必ず見に行きます。原題「Wings of Defeat(敗北の翼)」って、
やっぱナチ原やネットウヨは怒るのかな。
Posted by Meifumadoh at 2007年07月24日 22:23
> 自爆テロを「カミカゼ攻撃」と呼び、狂信的な自殺攻撃を日本の「TOKKO」とイメージを重ねる米国の風潮に違和感を持ち……

 上記は、上映館を調べて行き当たった紹介コメントですが、この監督、なんだかだいっても心はアメリカ人。イラクやパレスチナの自爆攻撃を“狂信”と斬り捨てた心で語るのか。これでは、「俺は、君の…」のスタンスとある部分では一緒ではないのか。
 見る前から少し退けた。
 管理人さんのこないだの“センズリ映画”でのコメントも、この映画の反映ですか。時期的にそんなはずはないか。
 何度もいうが、パレスチナなどの自爆攻撃は基本的には狂信ではないよ。『パラダイス・ナウ』を観なさい。『ミュンヘン』などに毒されてはいけない。
Posted by 本間康二 at 2007年07月24日 22:50
実を言いますと私はまだ「ミュンヘン」は観ておりませんが(「パラダイス〜」は無論観ました)そんなに酷かったですか。では毒されるかどうか試しに観てみようと思います。
というのはほんの冗談ですが、確かに仰るとおり、この監督さんはアメリカ人としてのスタンスを持ってらっしゃる感じですね。しかし日本のマスゴミが自爆攻撃の事を「自爆テロ」と称している事のほうが遥かに罪は深いと思います。
とにかく先入観を捨ててご覧になる事を強くお勧めします。
最後に一言。映画は最高に素晴しかったが映画館は最悪であった。(笑)
Posted by 亜凡怠夢 at 2007年07月25日 08:48
 亜凡怠夢さん。もちろん観ますよ、石原特攻映画ですら観たんですから(笑い)。
 ただ、シネ・ラ・セットって、どこかなあ?
 有楽町にこれがあった頃は最悪の映画館だった(笑い)。町会事務所の2階みたいなところで、若い館員何人もに電動車いす抱えさせ、申し訳なさで上に着くまで針の筵でした(汗)。有楽町のシネ・カノンが真後ろに優先席作って、それ以外動けなくしたのはあの時の怨みかなあ(爆)。
 それはそうと、『ミュンヘン』娯楽で観ればそれほど酷い映画ではありません。わたしのエッチじゃない方のサイトで星4つ付けたほどですから(笑い)。ただ、『パラダイス・ナウ』を知ってから手放しじゃいけないと反省した。ゲリラが殺した人質は襲撃時だけで、空港で射殺したのは全部ドイツのスワットとかいう事実の捏造とかもあるし。
 おなじ渋谷なら車いすトイレもあるシネ・アミューズで観ます。8月4日からですから、その少しあとくらいに。また、ディベートやりますか(笑い)。
Posted by 本間康二 at 2007年07月25日 11:49
それはどうも失礼しました。シネ・ラ・セットて昔は有楽町にあったのですか。知りませんでした。
結論から申しますとやはりアミューズでの上映を待ったほうが良さそうですね。
ミュンヘン事件を扱った作品に「ブラック・セプテンバー」というのもありますが、地味ながらなかなか良く出来た作品だと思いました。
もしかして既にご存知かもしれませんが、もし未見でしたら是非。
Posted by 亜凡怠夢 at 2007年07月25日 22:32
「ミュンヘン」は俺にとっては傑作。

必見の映画です。まず観てから批評してみて亜凡怠夢さん。
Posted by 死ぬのはやつらだ at 2007年07月27日 18:41
 『ブラック・セプテンバー』、今月CSスカパーにての放映だったので録画し、たった今全部見終わりました。
 こんなお粗末な顛末を、よくドキュメンタリーにしたものですねー。わたしが監督なら「うっ」と逡巡してしまいます(笑い)。
 やはり、人質はドイツ警察が撃ったということがこれでハッキリしましたね。あんまりバカバカしいことなので、ゲリラ側のプロパガンダかとも疑ったのですが、これを見れば「むべなるかな」です。
 それを、あたかもゲリラが“情け容赦もなく”射殺したものと脚色した『ミュンヘン』はトンデモ映画ですよ、やつらださん。あんなものがもてはやされるなら、プロパガンダもれっきとした芸術、『ディア・ハンター』はどんなに反動的改竄が含まれようと名画でしょう。
 面白きゃなんでも許されますか。だったら従軍慰安婦をSMにしてもオーケーですね。
 最近、デイズ・ジャパンで、パレスチナ受難の歴史を説いた特集が組まれてました。
 パレスチナゲリラが関わったテロ事件をどんな風に扱っても自由でしょう。しかし、少なくともイスラエル建国の歴史にまつわるパレスチナの悲劇と、60年にわたる経過をダイジェストでいいから並記すべきでしょう。そうすればどんな事件も、これまでとはまったく違う印象、光景となって見えるはずです。
 それをせずして何を語り、何を非難する資格が、誰にあるというのか。
Posted by 本間康二 at 2008年02月11日 00:03
>あたかもゲリラが“情け容赦もなく”射殺したものと脚色した『ミュンヘン』はトンデモ映画

えっ?
ミュンヘンには、そんな描写はなかったですよ。

イスラエルによる暗殺の惨さを描いた映画です。

ホンマさんはいつのまにモサドの手先となったの?苦笑
Posted by 死ぬのはやつらだ at 2008年02月11日 05:11
それと映画『ミュンヘン』の記事も書いているので、コメントはそちらでどうぞ。
http://anarchist.seesaa.net/article/13146032.html
Posted by 死ぬのはやつらだ at 2008年02月11日 05:16
 やつらださん、見る角度の問題ですよ。角度が違えば確度も違う。あの映画に“嘘”がある以上、プロパガンダのそしりは免れ得ません。
 表現が原則無制限自由でいけないということの賛否もそこから起きるのですよ。ネトウのおバカは、いったい何が原因だと思っているの?
 それも自由だと言い張るなら思想格差を認め、ひいては教育をも否定することだと思わない? ネトウの無理解・偏見・差別は自己責任?
 敢えて極論を述べました。失礼。

↓ 『パラダイス・ナウ』と『ミュンヘン』
ttp://www.onweb.to/palestine/siryo/pradise-munich06feb.html

 もう一つリンクしたかったが、困ったものだな、スパム対策とやらで再表示はできないみたい。「ミュンヘン雑感」でググって、リード文に『パレスチナ情報センター』とあるのを選んでください。
Posted by 本間康二 at 2008年02月11日 12:58
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