日本は今、新たな国家存亡の危機に直面しているといっても過言ではありません。政治・経済・社会のあらゆる分野における行き詰まり感、人々の自信喪失、規範意識や公徳心の希薄化、犯罪の増加・低年齢化。我々は、過去において経験したことのない、未来への夢を描けない時代のただなかにあるのではないでしょうか。
わが国は長い歴史を有し、この間、連綿と独自の光輝ある伝統精神文化を保有して、発展的な歩みを続けて来ました。しかし、今日のわが国は、世界有数の経済大国と称されながら、国力は全般的に衰微し、人心の荒廃は著しいものがあります。戦後の急速な経済復興で、我々は経済的豊かさを手にした反面、かつては貧しさの中にも備えていた精神的豊かさを失ってしまいました。
(杉並師範館の設立趣意書より)
たぶん、彼らの言うところの「連綿と独自の光輝ある伝統精神文化」、その根幹にあるのが神社なんだと思う。
俺も、文化としての神社が好きだ。「かなまら祭り」なんてのもあるしね。
ところが、神社・神道というものが誤解されていることが多いのも事実なんだなぁこれが。
●もともと社殿はない
神社のことを社(ヤシロ)というが、屋(ヤ)、代(シロ)の義で、神々が住まう家の代わりをするものを意味した。
だから、屋根のある今の神社は「連綿と独自の光輝ある伝統」ではないということになる。
そもそも神社は社殿を持っていなかったのだ。そこが聖なる場所であることを示すものがあれば、石でも柱でも、しめ縄で囲った結界でも何でもよく、神聖であることを示す目印があればよい。
いまでも、奈良の三輪山の大神神社には社殿がない。
http://www.oomiwa.or.jp/HPの写真にあるのは拝殿である。
●神道を軽蔑した天皇
日本書紀における孝徳天皇の一代記「孝徳紀」の冒頭にこうある。
「佛法(ほとけのみのり)を尊び、神道(かんのみち)を軽(あなづ)りたまふ」
「生國魂社(いくたまのやしろ)の樹を斬りたまふ類(たぐい)、これなり」
生國魂社は大阪府大阪市天王寺区にある神社。式内社で、旧社格は官幣大社。難波大社ともいう。地元では「いくたまさん(生玉さん)」と呼ばれているが、孝徳天皇はその神社のご神木か、境内の森の樹を伐採させてしまったのである。まさしく、孝徳天皇は「規範意識や公徳心の希薄化」になられていたようである。日教組による偏向した戦後教育を受けていない孝徳天皇でもこうなるのだからサ。
●神道という言葉は差別語!?
神道という言葉は、『日本書紀』に初めて出てくる。
『古事記』では「本教(もとつをしへ)」「神習(かむならひ)」と記している。
そもそも「神道」とは、中国の固有宗教、「道教」の用語で、道教は仏教との出会いで習合しながら、
「鬼道→神道→真道→聖道」と発展していくものと捉えていた。
仏教も古代中国では「聖道=聖教」としての自覚を持っていた。その中国仏教が日本へやってきた。来朝した僧侶たちが、まだ名前もない固有名詞をもたない日本列島独自の宗教に遭遇して当惑し、これに対して下から2番目の「神道」なら失礼にあたらないと考えたと想像される。
ちなみに『魏志倭人伝』では、邪馬台国の卑弥呼のことを「鬼道に事(つか)え、能(よ)く衆を惑わす」と記している。仏教渡来以前の日本列島の固有宗教である神道は、中国大陸から見ると、「鬼道」状態であったわけだ。
●神前結婚式は古式ゆかしいものではなかった
すっかり定着した神前結婚式。
もともとは、キリスト教の結婚式に刺激され、明治に入って、神道家たちが記紀神話の故事を念頭に入れて考案したもの。
ただし、皇室では婚儀は賢所(かしこどころ)の大前で行われてきた。
神前結婚式の始まりは、1900(明治33)年5月10日、当時の皇太子嘉仁親王(のちの大正天皇)と九條節子姫のご成婚の儀が賢所で挙げられたが、それを雛形として模したかたちで、その後、臣民の間にも普及したものが今日の神前結婚式なのだ。
ついでに言えば、あの玉串も、1871(明治4)年頃、賀茂別雷神社の御生(みま)れ神事のときに使われるたくさんの榊の枝をヒントに、有職故実に通じた知恵者が考えて、次第に普及したものだ。
以上、ネタは菅田正昭『神道』現代書館より。
ついでに言わせてもらえば、慰安所経営の一般人も合祀していた靖国神社なんぞ、神道に外れた外道神社だってことだな。
BC級戦犯裁判に詳しい研究者によると、この経営者は四三年九月から四五年九月までインドネシア・バタビア(現ジャカルタ)で民間の慰安所を経営していた実在の日本人。欧州系の女性らに強制的に売春させたとして、オランダ軍による戦犯裁判で有罪判決を受けた。四六年十一月末から現地で服役していたが、翌月末に病死した。(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007032902004469.html