2007年01月03日

日本という国は亡びてしまっていいと思っている

山陰地方の山の中で、山口瞳先生は終戦をむかえた。十八歳で2等兵であった。
先生の小隊では、
「兵隊はキンタマを抜かれ、女はレイプされる」と全員信じていたそうだ。
中国でさんざん、婦女子をレイプしまくった日本軍だったから、そう考えるのは仕方ないことではあった。
終戦後、1ヶ月も山の中に篭っていたそうだが、何の沙汰も無く。徹底抗戦を叫んでいた中隊長も、そのうち
「相手は文化国家だから、そんな野蛮なことはやるめえ」
ということになったそうだ。

専守防衛であるという。いったい、われわれは何を守るのか。守るべき祖国の実体は何であるか。その祖国はわれわれに何をしてくれたか。税金を徴収するだけではないか。
(中略)
いったい、どの国が、どうやって攻めてくるというのか。それを具体的に教えてもらいたい。攻めてくるのはソ連軍なのか、中国軍なのか。
いわゆるタカ派の金科玉条とするものは、相手が殴りかかってきたときに、お前は、じっと無抵抗でいるのか、というあたりにある。然り、オー・イエス。私一個は無抵抗で殴られているだろう。あるいは、逃げられる限りは逃げるだろう。
「○○軍が攻めこんできたら、家は焼かれ、男はキンタマを抜かれ、女たちは凌辱されるんだぞ」
いいえ、そんなことはありません。私の経験で言えば、そんなことはなかった。人類はそれほど馬鹿じゃない。
かりに、○○軍の兵士たちが、妻子を殺すために戸口まで来たとしよう。そうしたら、私は戦うだろう。書斎の隅に棒術の棒が置いてある。むこうは銃を持っているから、私は一発で殺されるだろう。それでいいじゃないか。
それでいいと言う人は一人もいない。だから、2兆9437億円(1984年度)という防衛費が計上されることになる。
私は、元来がケチだから、その2兆9437億円が惜しくてならない。その防衛費をどうするか。かりに私が中曽根康弘(当時の首相)なら、それを「餓えるアフリカ」に進呈する。そうすれば、自衛隊は演習ができなくなるから、人殺しの稽古のために誤って自分が死ぬという事態は起こらなくなる。それだって、十人やそこらの人命が助かることになる。
人は、私のような無抵抗主義は理想論だと言うだろう。その通り。私は女々しくて卑怯未練の理想主義者である。
私は、日本という国は亡びてしまってもいいと思っている。皆殺しにされてもいいと思っている。かつて歴史上に、人を傷つけたり殺したりすることが厭で、そのために亡びてしまった国家があったいったことで充分ではないか
そんなふうに考える人は一人もいないだろう。私は五十八歳になった。これが一戦中派の思いである。戦中派といったって様々な人がいるわけで、私は同じ考えの人に会ったことがない。
2兆9437億円という防衛費を「餓えるアフリカ」に進呈する。専守防衛という名の軍隊を解散する。日本はマルハダカになる。こうなったとき、どの国が、どうやって攻めてくるか。その結果がどうなるか。
どの国が攻めてくるのか私は知らないが、もし、こういう国を攻め滅ぼそうとする国が存在するならば、そういう世界は生きるに価しないと考える。私の根本思想の芯の芯なるものはそういうことだ
。(週刊新潮連載男性自身「私の根本思想」より)

貧乏人にとって、いまの日本なんぞ、攻められようがどうだっていいことだ。戦争で困るのは資産を持ったやつらだけだ。戦争になれば、貧乏人のチャンス。金持ち連中から好きなものを略奪すればよい。あー楽しみな戦争。六本木ヒルズは、貧乏人が殺到して、真っ先に火の海になるべな。「愛国心」あふれる人は、「キンタマ」を抜かれないように注意してチョ。

貧乏人は戦争に熱狂しないし、戦争に興奮しないし、戦争に感動しない。すべてにやる気のない連中の集まりのハズ。つまり貧乏人の士気をあげなければ、危機を煽る輩は儲からないのだ。

全国の貧乏人よ、今よりもモット、社会(金持ち連中)の役に立たない人間になろうぜ!!





posted by 死ぬのはやつらだ at 21:55| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(3) | 日本国憲法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
うしうし、おもしれえweb。大分前に知っていましたが、書くのは初めてかナ。「追っかけ日記」上のwebアドレスともども、「おっかけ日記」もよろしく。
http://okkake.blog.shinobi.jp/
毎日、コーアンに追いかけられてます、ハイ。
Posted by どんぐりコロコロ at 2007年01月14日 11:35
戦争で損をするのはいつの時代も貧乏人です。
戦争で熱狂するのも貧乏人です。
無抵抗主義が行き着くのは大虐殺です。
無抵抗主義で滅びた国はたくさんありますが、
歴史で語られることはほとんどありません。
アフリカで大きな争いを生み出しているのは、
疫病ではなく外国からの支援です。
58歳は戦後生まれですね。
習った歴史は都合よく修正されています。
本当の歴史を勉強した方がいいですよ。
Posted by ほえ at 2007年01月17日 13:04
戦争で得をするのはいつの時代も金持ちです。
戦争で熱狂させるのは権力者です。
好戦主義が行うのは大虐殺です。
好戦主義に滅ぼされた国はたくさんありますが、
歴史で語られることはほとんどありません。
アフリカで大きな争いを生み出しているのは、
疫病ではなく外国からの支援と武器市場です。
戦後教育を否定するからには戦前生まれですかね。
習った歴史は正しかったのかな。
本当の歴史を勉強した方がいいですよ、と他人に説教できるぐらい偉い人はいいね。
Posted by kuroneko at 2007年01月18日 08:43
>58歳は戦後生まれですね。

ほえ殿、山口瞳先生のことをよくご存知ではないようですね。

先生は1926年(大正15年)11月3日 生まれ。立派に従軍された人であります。本当の歴史を勉強した方がいいですよ。
Posted by 死ぬのはやつらだ at 2007年01月20日 20:16
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