2011年02月14日

映画「フード・インク」マクドナルドなどのファスト・フードが引き起こしていること



アメリカの農場が、今日のような家畜をギュウギュウ詰めにして不衛生な環境で育てる工場式農場となったのは、急速に発展したファスト・フード産業のためであることを、この映画は如実に語っている。
そして、巨大な食品産業がアメリカ政府を操作し、彼らに有利な法律を施行させ、批判する者に対しては容赦なく高額の賠償裁判で叩き潰す。
エジプトのムバラク独裁政権が非難されているが、アメリカを支配する食品産業の実態は、まさに悪の帝国を見るようだった。

巨大なファスト・フード産業は、安価な牛肉や鶏肉を大量に安く欲しがる。その要求を満たすために、工場式農場では家畜の成長を促し、生産コスト全体をを低く抑えるために、恐ろしい悪魔の実験が消費者をモルモットして行なわれている。
抗生物質……工場式農場では過密で不衛生な状態で家畜が飼育されている。牛や鶏はギュウギュウ詰めの状態で飼われているので、常時糞尿に塗れている。こうした状態ではあらゆる細菌の温床となり家畜が汚染されてしまうので、少量の抗生物質を飼料や水に混ぜて与えている。全米で使用されている抗菌薬のおよそ7割が家畜に与えられているという。
厄介なのは、これによって抗生物質に耐性をもつ細菌が出現する可能性が起きてしまうことになることだ。頻発する鳥インフルエンザは、このような細菌によるものであることが懸念されている。EUでは畜産への抗生物質投与を禁止し、耐性の減少が見られている。

狂牛病(BSE)……今日では感染した牛の脳やせき髄など神経組織が混ざっている牛骨粉を与えられた牛が発病することが判明している。ところが2004年に狂牛病が発見されたアメリカでは、高齢牛の一部の組織を飼料として投与することを禁ずるという、極めて緩い規制に留まっている。それどころか、2006年に米国農務省はBSEの検査の縮小を決定している。現在、米国産牛肉は多数、日本の外食産業で使用されている。牛丼の吉野家は、その代表的なものである。

大腸菌……牛などの反芻動物(蹄をもつ動物)は草を食べることに適した内臓機能をもっている。ところが工場式農場では、最後の数カ月間、牛はたいていトウモロコシや大豆を飼料として与えられる。これらデンプン質の穀物は牛の成長を速め、肉質を柔らかくするのだ。これには大きな問題がある。トウモロコシや大豆を与えられた牛の糞には耐酸性大腸菌のレベルが草を食べている牛と比べて大幅に高いことが判明している。予告編の冒頭で、3歳の息子を亡くした母親が出ているが、彼女の息子は大腸菌による感染症によって死亡している。大腸菌O-157に感染した牛肉を食べたからだ。工場式農場では糞尿に塗れた状態で牛を飼っているため、食肉加工の段階で大腸菌が汚染する可能性が大きいためだ。
http://www.med.osaka-u.ac.jp/doc/o157/contents/cdc-p.html
汚染は牛肉に留まっていない。2006年に発生したホウレンソウの汚染事件は、糞尿を堆肥にしないで作物の肥料として使用したり、家畜の汚染物が混入した水を畑で使用したことが原因となっている。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouka/files/sentei1-siryo4.pdf

ホルモン剤……米国政府の承認を得て、工場式農場では、肉牛の成長と乳牛の牛乳生産を促進するためホルモンを使用している。豚と家禽にはホルモン剤の使用が禁止されているが、代用で抗生物質が使用されている。全米の食用牛の2/3に成長ホルモンが投与されている。EUでは80年代以降、肉牛へのホルモン投与を禁止している。欧州委員会1999年の報告では、投与された動物の肉に含まれる残留物が人体のホルモンバランスに影響を与え、生殖に関する問題や乳ガン、前立腺ガン、結腸ガンを引き起こす可能性を指摘している。EUではホルモン投与された米国産牛の輸入を禁止している。
遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rBGH)は、乳牛に投与される。遺伝子組み換えにより人工的に作られた成長ホルモンで、アメリカ食品医薬品局(FDA)は1993年に、遺伝子組み換えで有名なモンサント社が提出した外部未発表の調査だけに基づいてrBGHを承認した。カナダ、オーストラリア、EUはrBGHの使用を禁止している。
工場式農場での使用は、その54%にものぼっている。rBGHの使用により乳牛の細菌性の乳房感染症が増大、その結果、感染症を治療するために抗生物質が投与されるという悪循環となっている。
加えて、rBGHを投与された牛の牛乳は、インスリン様成長因子-1(IGF-1)という別のホルモンが濃度が高まる。人体におけるIGF-1の濃度の上昇は、結腸ガンや乳ガンと関連づけられている。研究者らは、過去30年間にわたる双生児出産の増加と、人体のIGF-1の濃度の上昇には関連性がある可能性を指摘している。

日本ではほとんど報じられていないが、アメリカでは毎年のように食品汚染による病気は増加の一途をたどっている。その主な理由は、大手食品加工業者による政府や議会へのロビー活動の威力であり、これによって食品加工会社や企業に対する規制や罰則が緩められているのだ。
予告編冒頭で3歳の息子を大腸菌汚染で失った母親はNPO団体「食品媒介疾患研究・予防センター」を設立し、食品産業への規制強化を連邦議会に訴える活動をしている。その彼女が映画の中で、「息子ケビンが亡くなり、それから食料供給の問題についていろいろ調べてきた結果、御家族の今の食生活に何か影響はでていますか」と尋ねられるシーンがあるが、それに対し、「答えられません。答えたら、訴えられてしまうかもしれませんから」という、驚きのシーンがある。
これには理由がある。13州で可決されている悪法、「食品中傷法」というのがあり、食品業界の企業は、この法律に基づき、自社の製品の質を批判する人々を簡単に訴えることができるのだ。他の分野の名誉棄損事件より、証拠の面で緩い基準が設けられる場合もあるらしい。
映画の中では全米で有名な黒人女性TV司会者のオプラ・ウィンフリーがBSEに関する番組の司会を務めた後、テキサス州の同法によって高額賠償請求で訴えられたことが取り上げられている。これは最終的に彼女の勝訴となったが、食品の安全性に対し声を挙げようとした多くの人々を委縮させる充分なものだった。
ごく少数の企業が中心となって不当で強大な権力を掌握しているアメリカの食糧システムの現状。これらの企業は政府と密接につながっているので、彼らを監視して国民の利益を守るはずの政府は骨抜きにされてしまっている。クリントン政権やその後のブッシュ政権の食品に関する政府高官はそれら企業の幹部であったり、顧問弁護士であったことが映画で告発されている。

このような惨状の米国食品業界が生み出す「安全」と称される農産物がTPPによって大量に日本に押し寄せる。これを開国と称する新自由主義者は皆死ねばいいのに。


posted by 死ぬのはやつらだ at 23:41| Comment(0) | TrackBack(1) | 派遣と乞食・企業責任 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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