2011年01月29日

【安田好弘弁護士】大逆事件で検察が得た地位と利権

「大逆事件百年後の意味」院内集会に逝って来た。
参議院議員会館に入るのは初めてのことだったが、予想されたとおり恐ろしく金がかかっている建物だった。警備は厳重で、ゲートを通りID証をぶら下げていなければ入館できない。もちろん爆弾やピストルを持ち込むことはできなかった。

自民党、公明党、共産党以外の国会議員も参加し、多くの人たちのリレートークが話された。その中で、安田弁護士の話を紹介する。


1989年、国連で死刑廃止の採択が可決されました。それから23年経ちました。世界の2/3以上の国と地域で死刑が廃止されています。しかし日本では依然として死刑が続いています。たとえば1人の法務大臣がこの大逆事件で処刑された12人以上の人に死刑を執行している、というようなことが現在も行なわれています。裁判員裁判が始まってまだ2年も経たないのに、すでに3件もの死刑判決が出ているわけです。
日本では依然として死刑が続いています。その執行方法も、この大逆事件とまったく同じ方法で行なわれているのです。刑法というものをご覧になればわかると思うのですが、第2章の刑法第73条が完全に欠落しております。そこには大逆罪が書いてあったんです。

天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ皇太孫ニ対シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス

死刑罪です。共謀も死刑となります。そしてこの大逆罪はいまの最高裁大審院しか裁判が行なわれませんでした。1回の裁判で死刑しかない裁判が適用されたんです。
じゃあなぜ日本で死刑が廃止されないのか。それは日本には他の国と違って、死刑廃止に反対する強力な政治的集団があるからなんです。その強力な政治集団とは何か、それは法務省の検察です。彼らは徹底して死刑廃止に反対する。じゃあなぜ彼らが死刑廃止に反対するのか。いろいろと言われております。ひとつは天皇制を維持するためだ。あるいは自白強要という手段を放棄しないためだと言われております。しかし、私はそのルーツはこの大逆事件にあると思っています。大逆事件をデッチ上げた下手人の1人が当時の検事総長だった松室致ともう1人が平沼騏一郎大審院次席検事だったわけです。この2人は大逆事件をデッチ上げることによって多大な報酬を得ました。枢密院の議長にもなりました。もちろん法務大臣にもなりましたし、日本大学や法政大学の総長にもなったわけです。
しかし彼ら個人だけが大逆事件によって報酬を得たわけではないんですね。実は検察庁はこれによって大変な報酬を得たわけです。大逆事件を契機として裁判所構成法という法律を変えるわけです。どのように変えたかというと、事務総長を司法大臣と大審院院長と同格に吊上げたわけなんです。それだけじゃない、検察の絶対的優位的な地位といわれているのですが、検察が司法行政を支配するようになったわけです。つまり彼らは大逆事件、死刑というものによって彼らの絶対的な地位を得たわけです。しかしその地位は、敗戦によって変わることはありませんでした。現在もなおその地位は生きているわけです。ご存じのとおり法務省ではキャリアと言われる国家公務員の試験を受けた人はせいぜい出世しても課長止まりなんです。それ以上はすべて検察官が独占しているというのが現状なんです。私の友人に言わせればNo11までが検察だといっています。法務検察行政は彼らの手の中に握られているわけです。彼らの現在の優位的地位利権というのは死刑、大逆事件での死刑を政治的プロパガンダに使いたかった、ということの成果として彼らの利権と地位があるわけです。彼らは政治に口を出します。国会議員を次々と恫喝しかつ逮捕して政治をひっくり返しようとまでしているわけです。ある特捜部長は「額に汗して働く人たちが優遇される社会を作るのが検察だ」としているわけです。しかし私たちは検察のような役割を与えたはずは無いわけです。
私はとにかく検察を政治の場から排除する、司法を法務行政から排除すること、検察は検察の仕事だけをする。これが死刑を廃止する流れに対応し、2度と大逆事件のような事件をおこさせない道だろうと思うわけです。私たちが本当に大逆事件の意味を理解するならば、いまの日本における検察の役割を根本的に見直すことだと思うわけです。
是非皆さん、いま検察改革と言われていますけれども、このようなまやかしの改革に終わってはならないと思うわけです。検察を政治の場から放逐すること、検察を法務司法行政から排除すること、これが是非実現されることが私達の民主的な司法が実現されることだと思っています。
ラベル:検察
posted by 死ぬのはやつらだ at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 犯罪報道と死刑制度・裁判員制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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