【夫のチンコの大きさを医者に申告する妻マック】
この映画が上映されたのは去年のはなし。残念ながら、俺はこの映画、スケジュールが合わなくて見過ごしてた(たしか入りが悪くて3週も上映しなかった)。つい最近、レンタル屋で思い出して借りて観たんだ。
なんか、アソコがノーカットで大写しになることばかりが報道されてたけど、中身はエロ映画ではなく、感動的な夫婦の物語。悔しいが、ボロボロ泣けたぜ。ぜひ、カップルで観てほしい映画だ。
公式サイト日本語版
http://www.kinsey.jp/キンゼイの父親は、ピューリタンとしてしつけに厳しく、日曜学校での教師も勤めていた。そこで、肉体の快楽をしりぞけ、と説いた。
肉体の快楽をしりぞけ、心の中の物事に傾倒するべきです。
快楽への誘惑は至る所にあります。ダンスホール、アイスクリームパーラー、酒場、サウナ。
ヒュドラ(ギリシャ伝説、9つの頭をもつ怪物)の頭のように新たな快楽が次々と生まれます。
現代の科学的発明でさえ、不道徳な行為を助長しています。
自動車の発明で、人々はドライブの快楽を覚え、沿道には有害な売春宿が建ちました。
電気の発明で、低俗な映画が生まれました。
電話の発明で若い女性は、求愛者の声をベッドの枕元で聞くことができるのです。
忘れてはなりません、タロン社のファスナー“ジッパー”です。大人も青少年も瞬時に道徳心を失いました。
父親にすれば、リーバイス501のボタンは道徳を守るために付けられているというわけだ。
やがて、生物学を専攻し、インディアナ大の助教授となったキンゼイは、教え子のクララ(愛称マック)と結婚。2人は童貞と処女のカップルであった。セックスの仕方をしらないキンゼイは、濡れていないマックに突っ込もうとする。激しい痛みを感じたマックは拒否。初めての夜は散々な結果に終わった。キンゼイは「専門家に相談しよう」と、マックと2人でお医者さんに観てもらった。原因はチンコのデカさ(上写真参照)と厚い処女膜だった。彼のアドバイスで、丁寧な愛し方を伝授された2人は、みごとにセックスに成功。歓びに感動する。
2人の中はむつまじくて、子供3人が高校生になっても、1日3回はしていた。そんななか、大学の学生から、セックスの相談を受けることが多くなったキンゼイは、学長に結婚講座(3年生が対象となった)の開講を求め、自ら講師となる。
たくさんの学生がつめかけた授業の内容は、すばらしいものであった。
結婚講座の意義とは、生物学的に健全な成長を社会が認めないため、正しい性知識が身につかず、結婚したときに苦労する。ゆえに、12歳の子供でも分かる生物学の常識を教えることにした。
では、まず性器結合には6つのプロセスがある。刺激、潤滑、勃起、性的興奮の高まり、オーガズム、そして終焉。男女とも、この6つのプロセスを経験する。
ここで、キンゼイはまさに挿入されようとしている部分のクローズアップを教室に映し出す。映画館では、巨大なモノが映し出されたはずだ。映倫に感謝。ここがモザイクでは、興ざめだ。
私は短小ですか?
性器の形が左右で違うのですが?
性器が右に曲がっています。異常ですか?
オナニーをすると早漏になりますか?
彼が、お尻の穴をいじるのは異常ですか?
学生たちは、昔、奈良林先生のセックスカウンセリングにされていたと同様の質問をキンゼイに相談していた。キンゼイの回答は……
すばらしい質問ばかりだが、答えはいつもおなじ。
「わたしには、わからない」
人々の性行動の実態が不明なので、それが正常か異常か分からない。
だから、大半の人々が罪悪感を抱く。
私の興味は正常か? 私の性行動は普通か? そこで人々の性行動の実態を調べることにした。
キンゼイはロックフェラー財団の協力によって、1948年(男)と1953年(女)、アメリカの白人男女約18,000人の性に関する調査報告、キンゼイ報告を発表、本にして出版した。報告は数年にも及ぶ膨大なアンケートと面接調査をもとにしたものであった。このことによって、キンゼイは性科学の分野を切り開いたのだ。
内容は、驚くべきものであった。多くの白人男女が、キリスト教に反し、婚前交渉はおろか、子作り以外でセックス(しかもその中には、アナルセックス経験者もいた)していたことと、オナニーしていたことがキンゼイによって暴露されたのだから。
48年に出版された『Sexual Behavior in the Human Male』(邦題: 『人間に於ける男性の性行為』)と、53年に発表された『Sexual Behavior in the Human Female』(邦題: 『人間に於ける女性の性行為』)はベストセラーに。キンゼイは注目の人となったが、国内の保守派がそれを黙って見過ごすことはなかった。
国内の同性愛者を摘発しようとしたFBIフーバー長官の協力依頼をキンゼイは拒否。それがきっかけとなって、50年代のマッカーシズム(赤狩り)の犠牲となってしまう。キンゼイの研究は、若者を共産主義者に仕立てるものだ、というのだ。それによってロックフェラー財団の援助は打ち切られてしまい、大学の援助も理事会で却下されてしまう。
私は、人々の性の悩みに応えられなかった。性への抑圧をさらに強めてしまった……
失意のどん底に堕ちたキンゼイを支えたのは愛する妻マック……
その続きは、ぜひ映画を観てほしい。できれば、大切な人と。
キンゼイは愛についてこう語っている。
愛は科学的に分析できない。それは問題だと近頃思う。我々は愛に無知である。
キンゼイ亡き後、その偉大な意志はキンゼイ研究所に引き継がれている。
【キンゼイ研究所公式ページ】
http://www.kinseyinstitute.org/