2010年11月12日

【海保映像流出】なんとなく5.15事件のキナ臭さ



今回、国家機密の中国漁船衝突映像を垂れ流した海保職員に国民からの「同情」の声が殺到していると聞き、思わず5.15事件の輿論を思い出した。
こともあろうに武装した海軍の青年将校が軍縮の旗頭ともいえる犬養毅首相を暗殺した大事件だったのだが、その時の国民の間に助命嘆願運動が巻き起こり、将校たちへの判決は軽いものとなってしまった。その為、後の2.26事件につながった経緯がある。

今日の浅卑新聞にて佐藤優が、俺と同様な意見を書いているので紹介する。
同情にも称賛にも値しない

ビデオをインターネットに流した者に対する同情論が国民の間で出ているが、私は犯行に至る経緯を徹底的に究明し、形式にのっとって厳正に処分すべきだと考える。それは次の2つの理由からだ。
第1に、今回「ユーチューブ」に流されたデータが「国民の知る権利」に応えるものとはなりえていないこと。
もし、すべての映像データがアップされていたならば、それはある程度、国民の知る権利に応えるものと言えたかもしれない。しかし、今回、国民の目に触れたのは、人の手によって編集済みのデータだ。つまり、真実をそのまま写しとったものではなく、だれかの意図が入ったものだということになる。リークや情報操作の入り込むスキがいくらでもある。
「義挙だ」という声も聞くが、義挙ではありえない。自分、あるいは自分の組織にとって都合の悪い部分はカットされているかもしれないではないか。映像には、無意識であれ、後付けされたものであれ、海上保安庁の行為を正当化しようとする編集意図が入っている。
第2に歴史の教訓に学べ、ということ。
1932年、帝国海軍将校が時の犬養毅首相を暗殺した5.15事件の時に、「方法はともかく、動機は分かる」と、刑の減免を求める運動が起こり、軽い処分で収束した。この対応が後に2.26事件(36年、陸軍の将校が大蔵大臣高橋是清、内大臣斎藤実らを殺害したクーデター)を誘発した。
海上保安庁が機関砲を所持している官庁だということを忘れてはならない。
武力を行使できる公務員に対して、統制が取れていない行為を認めることの危うさを、国民は肝に銘じておくべきなのだ。激励の電話を海保にかけ、彼らを喜ばせてどうしようとするのか。独断専行を許したしわ寄せは、自分たちに来る。
今回の流出者は、海保の一員として、編集済みのデータを流した。「国民の知る権利」に応えようとする者であるならば、まず、上司に公表を求め、受け入れられないなら、辞表を提出し、一私人となってからデータを流す手順が不可欠だった。
2.26事件以降、政治家も論壇人も軍事官僚を恐れ、日本は戦争へなだれ込んでいった。人間は暴力装置に逆らえない。だからこそ、武器を持っている官庁には特別なモラルが求められる。鳩山前首相が「クーデター」と評したことは本質を突いている。
国家的な機密情報を国民に知らせるべきか否かは、個別具体的な判断をするしかない。今回の尖閣沖での追突事件について言えば、中国人船長を超法規的措置で釈放したタイミングで国民の求めに応じ、全データを発表すればよかった。それがどのような衝突であったとしても、中国人を罪に問うことは放棄しているわけだから。
対中国を考えても、今、ビデオが流れることはマイナスにしか動かない。実のところ、中国にとっては思い出したくもない事象だろう。


海上保安庁と言えば、過去一度も銃火を交えていない我が自衛隊と違い、北朝鮮工作船をバルカン砲で砲撃し工作員全員を肉のミンチとした実戦経験のある官庁だ。しかし、国民のほとんどは海猿が重火器で武装していない警察のような存在だと勘違いしているに違いない。そのような官庁に特権意識を持たれてはならないし、今回の映像流出は対中国外交のカードになったかも知れない国家機密だ。それを垂れ流されたことは国益に反する国家反逆罪モノなはずだ。

それと、もっと国民は利口にならなければならない。衝突がどのようなものであったかは海保側からの映像だけではわからない。航海日誌や衝突時の詳細な操舵記録と合わせて初めて真相が明らかになるからだ。

弱腰外交などと揶揄するマスゴミが多いが、強腰外交には相手の弱点を握るカードが必要なはずだ。そのカードをあからさまにしてしまった海保のバカ職員。手の内をさらけ出して外交するバカな国なのか日本は。


ラベル:海上保安庁
posted by 死ぬのはやつらだ at 23:09| Comment(7) | TrackBack(3) | この国のスバラシイ国民と社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
99年か00年ごろ、まあ9.11以前、アメリカのどこかのシンクタンクが
日本の将来についてこんなことを言ってました。うろ覚えの話で恐縮ですが…

 「日本では201X年頃クーデターが起こって混乱に陥り、
 その後は(当時の)ポルトガル程度の中進国となるだろう」

聞いた当時はそんなバカなと思ってたけど、どうやら本当になりそうな悪寒…
Posted by いかれぽんちゃっく at 2010年11月13日 05:20
クーデター・・・

そろそろ平成時代は終りそうだという日本的世紀末感は皆感じはじめているだろうから、それを契機にした一波乱はあるかもしれませんね。
ならば、201x年頃何か、とする読みは外れてはいないかもしれません。
Posted by pulin at 2010年11月13日 07:06
今回の件、80年前同様「支那・朝鮮・露助を許すな」となって軍拡につながり、そして第二次支那事変(日中戦争)、第二次日露戦争、そして第二次朝鮮戦争へと導きたい意図が隠れていますね。
そうなれば日本は中国、ロシア、そしてアメリカに分割統治されて国家消滅になるでしょう。

警察・自衛隊よりも強い特権を持つ海保。国土交通省の外局ではなく警察庁同様国家公安委員会の特別の機関にし、消防庁も半世紀ぶりに自治省/総務省から国家公安委員会の特別の機関に戻す。そして警察防災省として再編。そうなりそうですね。
Posted by ゴルゴ十三 at 2010年11月13日 07:52
つまり、公務員バッシングの中で、地道な公共サービスとか国民への「奉仕」を担う公務員の位置付けはどんどん軽んぜられて、警察・検察・海保・自衛隊など強権を行使できる立場の公務員のみ賞賛されるような風潮が起きるとなると、まさに新自由主義の望む夜警国家へまっしぐらという路線な訳ですね……。
Posted by pulin at 2010年11月13日 12:12
日本人は情に棹差せば流されるですからね。
愛国無罪を日中ともに御旗にしてなんでもありとばかりに騒ぎまくってる。
それもいい大人が。
みっともないというかつくづく…過去に学ばない国民だっちゅうことですよ(小沢一郎の口癖w)

ところで某アシュ○ラを覗いてたらこんな記事を見つけたので貼っときます。

「ジャーナリスト同盟」通信
ジャーナリスト同盟Web機関紙
本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(1)

<反日は虚報> 今回、93回目の訪中を敢行することが出来た。支援してくれた友人らに感謝しなければなるまい。北京では多くの日本研究者らと交流する機会に恵まれた。筆者が「親類と親しい友人に対して、久しぶりに北京に行くことになった」と声を掛けると、期せずして「大丈夫か」という反応があったことを、あえて講演会の冒頭で紹介すると、会場から驚きの声が上がった。原因は日本マスコミによる「反日デモ」報道であることを理解させるためだった。それは虚報だからである。

以降は本文にあたってください。

http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51682161.html
Posted by 無産者 at 2010年11月13日 14:39
>過去一度も銃火を交えていない我が自衛隊と違い

銃火交えなければなにしてもいいことにはならんわなあ
http://miyagi.no-blog.jp/nago/2007/05/post_1.html

少なくともまだ海保は国民に銃を向けてはいないだろう
時間の問題ではあるが。
Posted by ピグモン at 2010年11月16日 22:49
古い話題で恐縮ですが、sengoku39の妻は韓国人で、妻の母はアメリカ人だったそうですよね。まあ、「韓国=統一協会」「アメリカ=CIA」ってのを暗示しているようなもんですが。しょせん、sengoku39くんは鉄砲玉でしかないんですよ。操られて、最後に捨てられるだけの。それを、sengoku39くんも、彼を応援する保守論客やネトウヨも、その事に気づいていないという時点で、頭の悪い属国日本村の住人でしかないんですな。ま、sengoku39くんは、三島由紀夫『豊穣の海』第二部『奔馬』の主人公・飯沼勲のような正義感も勇気もない、臆病者でしかなく、切腹して瞼に日輪の幻を見るようなロマンチストですらない小者に過ぎませんが。
Posted by 日本小沢党 at 2010年11月30日 17:54
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