過去、山崎豊子原作X日共シンパの山本薩夫監督の映画を観てきた。
「白い巨塔」「華麗なる一族」「不毛地帯」
どれも傑作であった。
そして、今回の「沈まぬ太陽」も全国民必見の映画だった。
渡辺謙演じる恩地元は実在の人物である故小倉寛太郎氏がモデルだ。
●日航労組委員長に。カラチ、テヘラン、ナイロビへ
日本航空に入って、山崎さんも書いているけど、労働組合運動をやるつもりはなかった。10年なら10年みっちり仕事をして考えようと思っていたんですけど、ことのはずみで、なっちゃいまして。というのは出来たての会社だから矛盾があったんです。私は今の東京支店、東京営業所といっていたんですけど、いわゆる現場ではたらいていたんです。土曜日は5時までだったんです。東京銀座にある本社に勤めている連中は12時で帰っちゃうんです。一週間4時間、拘束時間で5時間違うんですね。どうなんだといったら、「本社も建て前は5時なんだけれども、業務に支障のないかぎり12時で帰っていいんだ」ということなんですよね。毎週業務に支障がないということはそもそも仕事がないということじゃないか、それは不公平だからおかしい。
その他にいろんな矛盾がありました。出来たての会社で、縁故採用多い。そこで、ストライキをやるようにしまして。山崎さんは98・何%と書いていますが、確か98%か99%の賛成率でした。
というようなことで労働条件は大分良くなったんですが、2年委員長やって職場に帰ったらカラチに行け、と。当時の内規ではカラチの任期は2年になっている。2年経ったら帰れると思ったら今度はテヘランに行けと。「テヘランは店がない」といったら、「お前が開くんだ」と言われ。それで、テヘランに行って。二度の勤務の時は1年で返すというのが内規だったんです。一緒に行ったのがみんな帰った後で、僕だけ帰れない。とうとうテヘランに4年いて、今度はナイロビに行け。「ナイロビには店がない」と言うと「お前が開け」と。いうことで、ナイロビにまた4年いて、合計10年、いましたね。
最初のうちは家族を呼んだのですけど、カラチに当時は6ヶ月たたないと家族はよべない。ようやく家族をよんだらインパ戦争だというので引き上げ便に家族をのせて返して、落ち着いたからと家族を呼び戻したら、今度「テヘラン行け」。家族つれていけませんから、家族日本に帰して。テヘランの半分ぐらいは子供の学校のために単身でやって。ナイロビも単身でやったんです。ですから私、子供の学芸会も運動会も見てやったことはないんです。結婚記念日も一緒にいたのは、当時までだと半分以下でしたね。
そんな生活していたんですけど、72年に日航機がニューデリー、ボンベイの誤着陸、それからニューヨークの事故、お客様を亡くならせて。それで大問題になって、その後ろには労使の関係の不安定さがあるのでは、というのが問題になりました。
というのは私を追い出した後、アメとむちで第二組合をつくったんです。それで御用組合との話し合いで物事を決めて、第一組合は徹底的に差別する。第一組合の組合員が結婚しようとすると、結婚式に行こうとする者まで、「お前アカに同調すると思われていいのか。その後の出世のこと考えなくていいのか」、と脅かすまでするような状況だったんですね。そういうことが少なくとも事故の遠因になっているんではないかということが当時、国会で問題になった。
委員の一人の人が「聞けば元委員長を本人の意に反して、10年間、海外にたらい回しにしているということだが、それは本当か」いう質問をして、参考人として出席していた当時の社長が、「その点については至急調べて善処します」と言ってくれたおかげで、帰ってこられたんですけどね。そのころは、ナイロビはもう4年ですから、次は西アフリカのナイジェリアのラオスといううわさがちらほらでていたんです。ラオスに行かなくてすんだのは国会で質問してくれた委員さんのおかげだし、さらには不幸にして事故で亡くなられたみなさまがたのおかげ、と言っちゃ申し訳ないんですけど、事故にあわれた方々が、「お前、今後、こういう犠牲をださないためにしっかり仕事せいや」というおつもりでいらしてくださったんではないかと思うんです。
http://minseikomabahongo.web.fc2.com/kikaku/99ogura.html
労組委員長であったために30年間左遷させられた小倉氏。
日共シンパであるが尊敬できる人物だ。
ただ、実際には日航機墜落事件の遺族担当にはなっていない。
【とりあえず押さえておきたい実在のモデル】
恩地元(渡辺謙)→元日航労組元委員長・小倉寛太郎
堂本社長(柴俊夫)→元日航社長・高木養根
利根川総理(加藤剛)→元首相・中曽根康弘
国見会長(石坂浩二)→カネボウ会長・元日航会長・伊藤淳二
竹丸副総理(小林稔侍)→金丸信
龍崎一清(品川徹)→瀬島龍三
井之山代議士(田中健)→社会党議員・井上一成
【日航人事をめぐる自民党の派閥利権争い】
週刊ポスト11.6号の記事によれば、元来、運輸省が所管する日航は安倍晋太郎の清和会の牙城だった。その日航の首脳人事に中曽根が口を挟んだので、安倍派との泥仕合を生んでしまった。結局、民間財界人の伊藤氏を会長に就任。元運輸次官を社長、現場の生え抜きを副社長にする人事配置になる。行革推進する中曽根の意向が通った格好となる。
社長に就任した山地進は中曽根政権の後藤田正晴官房長官が後押しし、伊藤会長は中曽根をバックに強権を振るおうとした。それに社内の幹部が反発していったのが実際の流れだ。
伊藤会長が親衛隊と呼ばれた会長室を新設し、映画に出てくるように、そこに中曽根自筆の激励を額に飾った。もともと日航は、企画管理、営業、労務、という派閥が覇権争いを繰り返してきたが、そんなやり方に対し、営業畑の利光副社長を筆頭に全日航で伊藤会長の排斥に動いた。それに抗しきれず伊藤会長は退任に追い込まれた。
それから運輸省OBの山地会長、営業派のドン、利光社長という体制となる。
日航の利権を追い出された安倍晋太郎はライバルのANAの社長に就任した若狭得治にすり寄る。若狭は運輸省の天下りを大量に迎え入れ、これまで日航の独占であった国際線への乗り入れに成功する。若狭はバブル時代、全国に赤字路線を増設、そこにホテルを建てていった。
その若狭の悪しき路線を踏襲したのが日航である。
日航も海外の不動産開発にことごとく失敗する。有名なニューヨークのホテル・エセックスハウスの買収はその典型だが、これも映画で描かれている。
これとセットで航空機の購入資金として、86年から10年間のドルの為替先物取引で大損するが、これは伊藤会長在任中に明るみになったものではなく、ざっと10年後の90年代後半のことだ。
映画では、日本政策投資銀行会長と金丸信が結託して裏のからくりを作りうまい汁を啜っているだろうことを暗示するシーンが出てくる。
映画では主演の渡辺謙の演技も素晴らしいが、行天四郎を演ずる三浦友和の演技も最高であった。
あからさまに憎々しいと思わせる悪役ではなく、ソフトに包まれた悪行に実際にいそうだな、と思わせる役となっている。
行天が行った数々の悪行は、日航にいた複数の人間の実際の行為をモデルにしていると云われている。
まっ、とにかく、いま話題の日航がモデルのこの映画、日航は事実無根の内容だと非難。テレビや新聞は大広告主である日航に気遣いだんまりを決め込んでいるw
日航が観せたくないと云うのだから、観たくなるというのが大衆の本音だろうがwww
「沈まぬ太陽」、社内報で批判=客離れ誘発に危機感−日航
11月3日3時0分配信 時事通信
経営再建中の日本航空が、同社をモデルにした公開中の映画「沈まぬ太陽」(山崎豊子原作、若松節朗監督)を社内報で取り上げ、「当社を取り巻く厳しい経営状況は世間の注目を浴びている」との認識を示した上で、「企業として信頼を損なうばかりか、お客様離れを誘発しかねない」と批判していることが2日、分かった。混迷する再建をめぐる社内の危機感が浮き彫りになった形だ。
社内報は映画公開直前の10月21日付。「心をひとつに立ち向かおう 風評・批判に惑わず」と大見出しが躍る。
映画で描かれている社内の報復人事や役員の不正経理、政治家・旧運輸省幹部らへの利益供与や贈賄について「こんな不正があるわけがない」と一刀両断。「国民航空」の名称やジャンボ機墜落事故の克明な描写から「『フィクション』と断っているが、日航や役員・社員を連想させ、日航と個人のイメージを傷つける」と反発している。
また、事故をめぐって「作り話を加えて映像化し、商業的利益を得ようとする行為は遺族への配慮に欠ける」と非難。さらに「しかるべき措置を講じることも検討している」と法的手段も辞さない姿勢を見せている。
【参考資料】
伊藤会長辞任に至る経緯。
http://www.rondan.co.jp/html/ara/jal2/index.html
そういえば安倍晋太郎の義理の叔父が佐藤栄作ですね、元祖運輸族の。妻・洋子の父親が岸信介でその弟ですから。
話は変わってvanacoralとかkojitakenのお仲間VSカナダde日本語のミニーの争いが醜いこと(w
http://d.hatena.ne.jp/vanacoral/20091105
安全なカナダから日本のことを心配しないで欲しいものです。
氏ねばいいのにw
日航機墜落の現場で指揮したという事実も無い、当時取材したから知っているんだと言ってましたが、就業時間を無視して早々に帰ってしまい高給だけはせしめていた本社のお役所体質に異を唱えた人物をアゲツラウとは、さすがに派遣社員の使い捨てを企業が上手く回るためには当然だと言い切る御仁だと得心しました。
死ねばいいのに。
レマルク『凱旋門』の訳文や、芹沢光治良『巴里夫人』中河与一『天の夕顔』から、
同作への丸写しの部分が見つかりました。
それに対して山崎氏は「著作料を払えばいいんでしょう』という態度で、
日本文芸家協会会長の丹羽文雄の逆鱗に触れ、同会を退会させられました。
除名ではなかったので首の皮一枚でつながったのですが、
丹羽氏は「わたしなら生涯筆を折るのだが」と憤懣やるかたない様子だったそうです。
まあ、年寄りはつまらんことを憶えてるもんですね。
そういえば『大地の子』でもごたついたような…
映画は先の日曜日に見てまいりましたが、こういう過去があったから、日航の現在があると確信しました。それにしても、中曽根(利根川)の風見鶏っぷりが・・・。大勲位はやっぱり卑怯者だなぁと思いましたです。
この丹羽文雄の役割を果たしているのが三浦朱門。こいつは丹羽よりももっとあこぎであり、恥知らずの鉄面皮な野郎ですから、文学の面ではほとんど功績を挙げていないくせに、お手盛りで芸術院会員になり、また自薦で文化功労者になっている野に加えて、こいつの妻の三文小説家曽野綾子も文化功労者に選任してしまいました。おそらく近い将来に自身も曽野綾子も文化勲章受章者に選ぼうという腹でしょう。
長かったけど途中に休憩が入ってトイレに行けました。膀胱破裂するかと思った・・・。
三塚博、そっくりでした。
裏金つくりにチケット横流ししてた社員は原作にありましたっけ?なんだかもう忘れてしまった。
これが安っぽくて・・・。
ペランペランのジャンボ機がブーンと飛び上がります。