2009年04月18日

【安田弁護士】 痴漢防衛医大教授が無罪になったわけ

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電車痴漢:防衛医大教授に逆転無罪 最高裁「判断慎重に」

 東京都世田谷区を走行中の満員電車で06年、女子高校生に痴漢をしたとして強制わいせつ罪に問われた防衛医科大教授、名倉(なぐら)正博被告(63)=休職中=の上告審判決で、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は14日、懲役1年10月の実刑とした1、2審判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。小法廷は「被害女性の証言の信用性を疑う余地がある。犯罪の証明が不十分」と述べた。名倉さんの無罪が確定する。

 最高裁が痴漢事件で2審の有罪判決を覆したのは初めて。小法廷は満員電車の痴漢事件の審理について「特に慎重な判断が求められる」と初判断を示し、理由として「客観証拠が得られにくく被害者の証言が唯一の証拠である場合も多い。被害者の思い込みなどで犯人とされた場合、有効な防御は容易でない」と述べた。被害証言を補強する他の証拠を求める内容と言え、捜査や公判に大きな影響を与えそうだ。(4月14日毎日新聞)


なんだか、浮かれているチカンもいるようだが、この判決は別に画期的でもなんでもない。
あの安田弁護士が新宿ロフトで話していたぞ。

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「検察の暴走を許すな」より。

あの判決は最高裁の第3小法廷というところが出したんですね。
第3小法廷というのは、僕の事件もそうだし、光市の事件も第3小法廷だし、来週の火曜日かな和歌山カレー事件の真須美さんも第3小法廷です。
あそこはまだ検察官上がりの裁判官が1人もいないのですよ。
裁判官出身が2人、弁護士出身が2人、学者出身が1人。
◇裁判官の判断一覧(※かっこ内は出身。◎は裁判長。敬称略)

<無罪>藤田宙靖(学者)、那須弘平(弁護士)、近藤崇晴(裁判官) 

<有罪>◎田原睦夫(弁護士)、堀籠幸男(裁判官)

いま第3小法廷だけじゃなくて、最高裁が常に意識しているのは裁判員裁判を意識しているのです。
裁判員裁判の裁判員に将来なりそうな人を意識して、自ら「教育する」という感じでやっているんですね。
この裁判の補足意見や少数意見を読んでいただければわかるのですが、まったく180度違う意見も入っている。
ただ結論的に云いますと、あの人が早稲田大学の教授だったら有罪だったでしょうね
防衛大学の教授だったから、たまたま助かった。
そこら自体がことの本質だと思うんです。
しかもですね、裁判官出身の2人が有罪・無罪に2つに割れたんです。そして、弁護士出身が有罪・無罪に、さらに2つに割れたんです。これで2対2ですね。
最後、学者が無罪の方にいった。なぜ学者が無罪の方にいったかというと、定見がなかった。つまり自分の意見がなかった。「声のでかい人の方に従った」と云うことです。
もし、検察官上がりがもう1人あそこにいたとしたら、確実に有罪だったと思いますね。
最後になって逆転無罪と云うのは、ウケの良いパフォーマンスだったと云って良いし、ショーをやっているんだと。
3対2というのは、まさに陪審員が評決して協議して結論をだす。そのスタイルを皆さんに見せているだけなんだと思いますね。
ですから難しそうな裁判は早く終わらしてしまう。
痴漢のような問題には皆一生懸命がんばって、信念をもって結論を出すんだと。そういうスタイルをちょうど良い時期に出してきたのだと思います。


安田弁護士の云ったとおりだと俺も考える。
小法廷が無罪とした理由は以下の通りだった。
小法廷は、鑑定で指から下着の繊維が検出されていないなど客観証拠がなく、起訴内容を支える証拠は女性の証言だけと指摘。そのうえで▽女性が積極的に痴漢行為を回避していない▽起訴内容の行為の前に痴漢被害を受けて下車しながら、再び被告のそばに乗車した経緯は不自然−−などの点から「信用性を全面的に認めた1、2審の判断は慎重さを欠く」と結論づけた。(毎日新聞)

それならば、御殿場事件はどうだったのか?
あの事件もレイプされた物的証拠(衣服や医者の診断書)はなく、被害者の証言だけが唯一の証拠となっている。しかも証言の日時や天候状況など明らかに虚偽の疑いが濃いものだった。
http://f13.aaa.livedoor.jp/~hiroppe/gotenba/gotenba.htm

しかし、4人の元少年は240日も拘束された上に、実刑判決となった。

どう考えても、「防衛大教授」だから無罪、「不良少年」だから有罪なんだとしか思えない。



「アタック25」という超マンネリのクイズ番組があるが、昔は観覧者がトップ賞の予想を行い、予想が的中するとプレゼントが贈られていた。よってトップ賞の予想は回答者の職業によって判断することが多かった。大学教授や会社の経営者などは支持が高かったのだ。

人は職業によって差別するのは明白だ。
その流れは裁判員制度でも変わらないだろう。
派遣労働者や無職、ましてやホームレスなどの容疑者は有罪とされる可能性は高くなると俺はみている。

裁判所は、裁判員制度にむけて、いろいろな仕掛けを企んでいるのだろう。その嘘を見抜く国民はどれほどいることやら…。
ラベル:冤罪 裁判員制度
posted by 死ぬのはやつらだ at 23:42| Comment(10) | TrackBack(2) | 犯罪報道と死刑制度・裁判員制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ニュースを見てて、痴漢冤罪事件としてはなかなか画期的な判決じゃないのと思っていたら、教授教授と呼ばれていた人が防衛大教授と分ってちょっと引きました。

まあそういう陰謀論めいた考え方も良くないのかなと思い直し、しかしやっぱり、世論操作に全力を傾けるエライ人達のやり口が見えている昨今だけに、もしかしてというのもあります・・・。

いったい我々は何を信じたらいいんでしょうか?(笑)
Posted by やきとり at 2009年04月19日 00:16
同意。
それをゆとりナントカクンにも言おうかなあと思いましたが野暮かと思いやめました。
人は所詮見かけなんですよね。
ホームレス狩りの少年たちを批判するのは実に容易い。
けれどその少年たちのホームレスに向ける目線を醸成してきたのは我々社会であって、彼らはそれを体現しただけだとも見ようによってはいえる。
早稲田の教授だったら・・・植草さんのことが即座に浮かんだ俺、これは邪推というのかなあ。
Posted by 無産者 at 2009年04月19日 01:19
 ゆうべ、たまたまひょんな必要性から、パソコンスクラップしてあった週金の鎌田慧インタビュー『なぜ“悪魔”を弁護するのか』を読んだところです。
 やはり安田さんはエライ!
 俺は最近、ドラマ『疑惑』で津川雅彦の“快(怪?)演”(上手かったよ)に安田さんを彷彿しました。その心を体現していたのは主役の後輩弁護士(田村正和が好演!)でしたが。
 闇に一点、真実の光を見いだすことができるのはやはり法律の専門、しかも人間洞察に秀でた人をもってしか可能ならしめません!
 裁判員制度などはその役目放棄の“丸投げ”クソ制度、ぶっつぶす以外のなにものでもないシロモノです。
 この記事にクリック!(笑い)

 しかし、やつらださんも元気だね。その意気ですよ、こんな時代こそは!
Posted by 本間康二 at 2009年04月19日 10:33
信じる者は救われないんですよ(苦笑
Posted by やつらだ@やきとり同志 at 2009年04月19日 19:06
>植草さんのことが即座に浮かんだ
そうだべ。

ただ、植草さん「カナダのBlogババァ」に取り込まれているからなぁw
Posted by やつらだ@無産者 殿 at 2009年04月19日 19:09
>この記事にクリック!(笑い)
爆笑しました!

裁判員制度を推進している教授の講演聴きに行ったら、彼らは「民主主義」のために裁判員制度を導入するんだと云ってましたね。
「9条を守る会」の人も話しておりました。

頭がこんがらがったのだけど、こうなったら積極的に参加して死刑を阻止するしかないと思いました。

死刑は多数決で決めるらしいですからw
Posted by やつらだ@ホンマさん at 2009年04月19日 19:13
 多数決ったってあなた、まともなのは圧倒的少数なんすよ。
 こうなったらヘンリー・フォンダみたいに1人で12人分頑張るしかないっしょ。
Posted by 本間康二 at 2009年04月19日 23:23
容疑者が外国人の場合、考える余地もなく有罪になるでしょうね。
Posted by オーガニズム・コーケストラ at 2009年04月20日 01:51
「裁判員制度」ですけど、賛成・反対いろいろありますが、そもそも、あの制度を政府が持ち出してきたのは、単にアメリカでやってるからじゃないですか?女性天皇もそうじゃないでしょうか(男女同権?)。民主主義とかごたくを並べてますが、そんな基本論を彼らがじっくり考えてるはずないでしょう。そんなに立派なことを考えてるわけがない(笑)。

米国からなんか指示があったのかも。

ちなみに、米国の裁判員制度は、市民からとても嫌がられてます。非常に負担になるからですが、実際に「候補」になった人からの情報では、多数の候補者から裁判官が「勝手に」選ぶそうです。理由は言ってくれないらしい。

そのため、仕事を休んで何回も選ばれるためだけに出廷し、その後「解放されて」ほっとした人が多数いるそうです。

Posted by 通行人A at 2009年04月21日 19:44
いままでこのハンドルであちこちに何度か書き込みましたが、上の人は別人です(怒)
Posted by 通行人A at 2009年06月19日 10:33
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