2006年01月12日

イスラエル「HAARETZ」が映画「ミュンヘン」を酷評(こりゃ大傑作の証拠だぜ!)

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【偉大なる荒畑寒村ことアラファト】

HAARETZ(ハアレツ)はイスラエルの日刊誌。8万部発行。英国の統治下にあった1919年に初のヘブライ語新聞として創刊。「国家」を意味するこの新聞は、イスラエル湯田やの政界から知識層まで広く支持されている。

さて、この湯田や新聞がスピルバーグの最高傑作との評判も高い「ミュンヘン」を酷評した記事を掲載した。以下、「クーリエ・ジャポン」1.19号より転載。

スピルバーグは『ミュンヘン』を撮るべきではなかった

スティーブン・スピルバーグの新作映画『ミュンヘン』は、観客にこう問いかける「はたして暗殺という行為に価値があるのか」と。
しかし、もっとも大きな問題がある。もし暗殺に反対するとしても、それは、暗殺はさらなる報復を招き、際限のない争いを呼ぶため、手段として効果的ではないからなのか、それとも道徳のため、つまりそもそも非人間的な行為だからいけないのか、ということだ。この監督はその問いに答えていない。
私はこの映画の試写を見て、すぐにひとつの結論に達した。
それは、イスラエル人はこの映画を好まないだろうということだ。この作品は。およそ感情移入を誘わない平凡なハリウッド映画であり、イスラエル人にとっては語りつくされた歴史上の出来事と、それに関する登場人物たちを、あまりに安直に割り切って描いているからだ。
イスラエル人はスピルバーグが描くような物言いはしないし(それを言うなら、英語ではなくヘブライ語で話しているのだが、まあ、それは言うまい)、彼が描くようにふるまうわけでもない。そして、たいていのイスラエル人は、ミュンヘン五輪(1972年)で大量殺戮事件を起こした者を暗殺するというイスラエル政府の決定に、大きな疑問を抱いてはいない。
暗殺を実行したのは、そのほとんどがイスラエルのモサド隊員たちだが、イスラエル選手団の虐殺に関わった約10人のパレスチナ人を殺した事件について、イスラエル政府は正式には関与を認めていない。
映画は「事実に着想を得た」と冒頭で謳っている。
しかし、原作になっている『目標(ターゲット)は11人 モサド暗殺チームの記録』(邦訳新潮社)は実に毀誉褒貶が分かれる作品だ。誤った歴史認識を持つ原作に基づいた映画が正しい結論を導き出すことなど、とうてい期待できない。

スピルバーグは、事件の描き方はイスラエル人にとって愉快なものではないと認め、イスラエルがアラブの敵国に対して仕掛ける暗殺と、米国が「テロとの戦い」として遂行する報復の、両者に対する疑問を提議することが目的だとほのめかした。
彼は、タイム誌にこう語っている。
「私にとっては、この映画は平和への祈りでもある。……歩み寄りを拒む人たちも、心のどこかに平和への祈りを絶対に持つべきなんだ。……中東最大の敵は、互いの歩み寄りがないことだよ」
さあ、それはどうだろう。仮に左がかった映画監督に同意するにしても、この映画はそうした主張を決して効果的には伝えていない。
冒頭で触れた、暗殺という行為が孕む真に重要な問題に監督が結論を出さなかったために、この映画はまるで新たな洞察のない、不必要に長ったらしい退屈なものになった。
ハリウッドの映画人は、こうした論争必至のテーマを扱うのには適していない。お定まりの映画でも撮っているほうがいいだろう。Shmuel Rosner


「暗殺という行為が孕む真に重要な問題に監督が結論を出さなかった」とあるが、引用されているタイムのインタビューでスピルバーグは「脅威にさらされた時にイスラエルが反撃することを、私はいつでも支持する。しかし、同時に、目には目をでは解決にならない。それでは無限連鎖を生むだけだ」と答えている。湯田や人記者にはそのメッセージが読み取れなかったのだろうか?

「イスラエル人はスピルバーグが描くような物言いはしないし(それを言うなら、英語ではなくヘブライ語で話しているのだが、まあ、それは言うまい)、彼が描くようにふるまうわけでもない」とあるが、ぜひとも、この湯田や人記者に映画「アラビアのロレンス」の批評を聞いてみたいものだ。彼にとって、この映画で描かれるアラブ人はどう映るのか?

彼にとって、「ミュンヘン」が「不必要に長ったらしい退屈なものになった」のはイスラエル国民であることが大きいだろう。イスラエルという国家そのものが国際法上、違法なものであるからだ。

「ミュンヘン五輪(1972年)で大量殺戮事件」と言うなら、イスラエルの建国以来、続いているパレスチナ人への略奪と虐殺はどう呼べばいいのか?

それこそホロコーストなのではないだろうか?

ヒトラーによる民族浄化が成功していれば、この世に中東問題は発生せず、新たなテロや虐殺が繰り広げられる世界にはならなかったという事実を、イスラエル自らが皮肉にも証明しているのが現実の世界である。

ミュンヘン日本語サイト
posted by 死ぬのはやつらだ at 21:47| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(8) | 湯田や人と中東情勢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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