2008年12月07日

元特攻隊員が田母神に物申す

戦争屋にだまされない厭戦庶民の会から封書が届いた。
http://www.ensenshomin.org/index.html

そのなかに信太正道さんの文章が入っていた。

 信太正道さん(81)は札幌出身。海軍兵学校最後の卒業生であり、 北海道千歳にて特攻隊に指名されるも、 前線基地への移動中に終戦を迎えた。戦後、 京都大学を卒業し海上保安庁にて朝鮮戦争時、機雷処理の極秘任務で従軍、 海上警備隊、 航空自衛隊(戦後日本人初ジェット戦闘機パイロットの1人)を経て日本航空に勤務。創設期の自衛隊では軍人の本音にふれる。 退職後は池子米軍住宅建設反対運動やゴラン高原PKF違憲訴訟など平和運動に専念。 著書『最後の特攻隊員二度目の 「遺書」』 (高文研) や講演を通じ、 自身の経験を伝え、 「戦争屋にとって一番こわいのは厭戦気分」だからと2000(平成12)年、 「厭戦庶民の会」 を結成した。


田母神空幕長論文問題を考える

戦争屋にだまされない厭戦庶民の会 信太正道

今回の大騒動について、自衛隊員が懸賞論文に投稿した時期が悪いとか、事前に上司の判断を待つべきだったとか手続きを問題にする批判が多く見られます。しかし私は、歴史の未来に不安を感じています。
陸士・海兵を卒業した沢山の戦争体験者が自衛隊のエリートに再就職し、旧軍的なものに懐疑を持っておりました。だが、防衛大学卒業生は少し違います。その典型例が田母神氏でしょう。
自衛隊は創立以来、税金泥棒としていじめられ、日陰者として扱われてきました。憲法9条2項違反の自衛隊は未だに軍隊として認められていません。皆さん、自衛隊員の劣等感、憲法9条2項に対する憎しみを想像することができますか? 田母神氏はイラクでの空自の活動を違憲と判断した名古屋高裁の判決について「そんなの関係ねえ」と民主主義の基本である三権分立を嘲笑しました。彼の屈辱感の裏返しです。
9.11事件以降、自衛隊法第3条(自衛隊の任務)が改正されて、国土防衛及び公共の秩序維持以外に国際貢献が追加されました。自衛隊にとって夢の実現はもうすぐです。田母神解任はその矢先の事件でした。この結果、憲法9条2項の削除は数年遅れるでしょう。自衛隊員の憲法に対する憎しみは陰湿になり、激情化することは必至です。
1929年の金融恐慌に端を発し、世界は軍縮に向かいました。その反発が5.15事件、2.26事件です。日本は15年戦争に突入しました。
このような歴史認識のない戦後育ちの航空自衛隊のトップは「日本は美しい国だ。過去に悪いことをしたことはねえ」と大嘘をついて隊員の士気を上げようとしています。笑いものですね。嘘は一般隊員ですら、だまし通せるものではありません。
田母神様、戦後の日本には戦死者が1人もいません。何故だか解りますか? 戦死者がでれば、それだけ9条2項の改正が遅れるからです。その代わり、9条が改正されたら、戦死者はどんどん靖国に行ってもらいます。米軍は朝鮮で3万人、ベトナムで5万人、イラクで4千人の戦死者を出しています。彼らは1人も戦死者を出さない日本の身勝手を恨んでいます。でも9条2項を改正せよと命令ができないのです。日本国憲法はマッカーサーが押しつけたというトラウマを持っているからです。だから彼らは日本人自らの手による改憲⇒「国民投票」での勝利を期待しているのです。
田母神様、貴方は部下を道連れにして名誉の戦死をしたいでしょうが、お止めなさい。1人で靖国にお入りください。


元特攻隊員による文章は重い、そして多くの示唆に富んでいる。

俺がおおいに頷いたのは、「皆さん、自衛隊員の劣等感、憲法9条2項に対する憎しみを想像することができますか?」という指摘。

特に護憲派に言いたいが、自衛隊員を味方につけないで9条を守ることなどできないってこと。
彼らだって、真剣に国を守ることを考えて仕事をしている。
その彼らに屈辱的な言葉をぶつけて非難してきた旧左翼的な「護憲運動」が広がりを持つなど無理なのではないか?

彼らを米帝の犠牲者にしないための憲法9条2項。
その事を自衛隊員にもっと訴える運動が必要なのではないかと思うのだが。
ラベル:自衛隊 憲法
posted by 死ぬのはやつらだ at 08:50| Comment(11) | TrackBack(0) | 防衛問題 自衛隊 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は非武装論は空論だと思っています。
個人的見解ですが、軍隊というものは国家の儀礼として金はかかっても必要で、
日本が軍隊を持たなければ近隣諸国は喜ぶかというと…
そう単純なものでもないでしょう。
Posted by pulin at 2008年12月06日 17:26
>私は非武装論は空論だと思っています。

俺も同意します。

国家の儀礼というのは疑問ですが、少なくとも世界最大の軍事力を悪の帝国である米帝が持つ限り、自由と民主主義を守るために必要でしょう。

ましてや隣国のキチガイも軍事力を誇示していますからね。

それと軍事力というのは外交交渉にも影響を及ぼす点も見逃せません。


キレイゴトはもう結構。
現実的な憲法9条の運用が必要です。

その意味では、永世中立という立場か、中国ロシアを含めた極東アジア諸国の軍事同盟も考慮される必要があるでしょう。
Posted by やつらだ@pulin 殿 at 2008年12月06日 18:10
私の母は1歳の時、父を戦争で無くし祖母は10年間未亡人として母を育てました。祖父は靖国神社に祭られています。戦争は今も続行中です。戦争は戦争を仕掛ける男と仕掛けられる男が共同で起したんです。日本は侵略したのではなく、愚かな男達が戦争ゲームに参加して殺しに夢中になってしまったんですよ。止める男がいなかったのが全ての原因です。それなのに今更、憲法を憎むとか他人のせいにしても、仕方ありません。
Posted by 戦争遺児の子 at 2008年12月06日 18:51
きれいごとはもうけっこうかも知れないし、まだ必要かも知れません。

「海外活動が自衛隊の本来任務」という法律があります。これは9条2項よりも有害です。

自民公明民主が賛成して成立しました。
http://www.afpbb.com/article/politics/2164249/1221143
Posted by 反戦おやじ at 2008年12月06日 19:04
78歳で元特攻隊というのは本当ですか。
今年78なら昭和20年だと15歳です、十代の特攻隊員はもちろんいたでしょう。
でも15歳の特攻隊って初めて聞きました。
Posted by 蟹型円盤 at 2008年12月06日 22:55
ご指摘どうも。
よく気がつきましたねw

年齢は81歳に訂正しておきました。
Posted by やつらだ@蟹型円盤 殿 at 2008年12月07日 00:14
田母神の参考人質疑を見て
いろいろと考えさせられました。

田母神の言う
ずっと何年も前から、言っていることを
何で今更という、田母神の言葉がもっともに聞えました。
今回の件は政治的意図を感じます。

同時に、自衛隊員の事を考えさせられました。

とりあえず、結論は個人的には出ませんが、
ウルトラ警備隊と名前が変わったら、親しみを持てそうです(笑)
Posted by JUNK at 2008年12月07日 21:48
被害者意識を持ってるやつが最強という話だな。
Posted by とおりすがり at 2008年12月07日 23:51
ちなみに、私は
憲法9条改正反対論者です。
憲法9条の文言はいつ読んでも素晴らしい。
なまら、格好いい。

海上保安庁の大きな巡視船になると
40ミリ機関砲や20ミリ機関砲を搭載しているが、
これも憲法9条違反となるかな?
私は憲法違反だとは思わない。
Posted by JUNK at 2008年12月08日 15:57
俺も9条改正には反対。

自衛隊は違憲だと思っていないし、自衛戦争は憲法でも認められていると俺は解釈していますw
Posted by やつらだ@JUNK 殿 at 2008年12月08日 23:13
突然ですが、本日の「クローズアップ現代」で、田母神氏の論文について取り上げられるそうですよ。
Posted by 働くのは嫌だ at 2008年12月09日 00:32
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