世の中の勝ち組労組の中でも、最大の労組、
「新聞労連」の中央集会のパネルディスカッションに逝ってきた。
負け組みの俺でも参加できるように一般公開だったのだ。
水道橋で降りて向かう先は、全逓会館。
かつては、過激な闘争で知られた労組だ。
民営化で落ちぶれても、建物は古いが大きい。
http://www.jprouso.or.jp/guide/hall/index.html
今回は、元週刊現代編集長 元木昌彦氏の話。
彼は、学生時代、バーテンダー学校に半年通って免許を取得し、4年間ずっと新宿のバーで働いていた無頼派である。
「うまい話」ってのは、イカサマ師だけじゃなくて、「新聞」にいっぱい転がっている。ホントウに「ウマイ話」ってのは国民に知らされていないってハナシだ。
私は、週刊現代という雑駁な週刊誌をやってまして、週刊誌をやっていますと、記者クラブ批判、新聞紙批判を嫌になるくらいズーッとやってきましたんで、いまさら新聞が権力の監視なんぞできるわけないなと。いまの流れの中でずっと押し流されてきた中で、それをどこでどうやって押し留めていくのかってことが今日たぶんこの場で話されるのだろうと思うのですが。
私は、この前までいた、オーマイニュースという韓国のネットの市民参加型メディアがあるのですが、韓国でBSE問題で韓国の女子高生がリーダーとなってBSE問題、アメリカの牛肉輸入に反対するという100万人ものデモが韓国で起きました。
私は、オーマイニュース、日本で社長であったわけなんですが、あまりにも(韓国と日本の)国民性の違いが際立っていったんだと思ったんです。
その中で象徴的だったのが、こちらでも報道されたんでしょうけれども、向こうでですね政権打倒ということがあったんでしょうけど、割とメディア批判というのが韓国のBSE問題のデモの中心課題だったんですね。
オーマイニュースができた理由というのが、大メディア、とくに新聞に対する批判だったんですが、先日も、朝鮮日報だったと思うのですが、メディアに対する相当なデモがかけられていて、モノが投げられるというような被害があったようですが、朝鮮日報は1面を使って、「我々がなぜ市民から石を投げられるんだ、我々を守ってくれ」というのを出して、そして次の日から警察が新聞社の周りを取り囲んでデモ隊から守ったという話を韓国の人間から聞きました。
ここに、いまの新聞社、メディアの惨状といいますか、権力に自分たちを守ってくれとというようなことが象徴的に表れているのかなと、これは日本でもそれに近いことがあるわけです。
95年にオウム真理教事件というのがありまして、麻原逮捕の後、「警視庁の中にオウム真理教の信者がいた」という記事を週刊現代で2回やったわけです。
で、当然のことながら警視庁から電話がかかってきて、「それはやめてくれ」と「いま、これだけ世間でオウムに対する批判がある中で、警視庁がこれから逮捕して取調べしようとしているときに、警視庁の中で信者がいるという記事を出してくれるのは困る」という内容でした。私はそれを断りましたら、
「他の新聞、テレビ、マスコミの人たちからはご理解をいただいている」
と広報の人間から言われましたんですね。
ご理解をいただくとはどういうことかというと、知っていて書かないということですね。それはよくあるのでしょうけれど、我々は、記者クラブにも所属しているわけではないというので、突っぱねて2回書きました。
そうしましたら、すぐに抗議文が警視庁から届きまして、警視庁管内の取材、彼らは便宜供与と書いていましたが、「週刊現代に対する便宜供与を一切しない」という抗議文が来て、1年間、週刊現代に対して、警視庁管内はまったく取材を受け付けない。
便宜供与、彼らにすればサービスなんですね。それに対して、新聞テレビを含めてですけど、その人たちは日常的に(国家権力から)便宜供与を受けていて、国民にぜひ知らせなければいけない情報も出さないということなんです。
これに象徴されて、流れでいいますと、いま心配しているのが「裁判員制度」。
最高裁が予断を与える報道を自粛して欲しい、という要請に対して、すぐに新聞協会も含めて民放連も、今年の春ですか、我々から言うと自主規制、「こういうことはしません。こういうことは気をつけます」というのをいち早く発表してしまう。
こういう裁判員制度の是非はもちろんあるでしょうけれども、そういった自主規制をすぐに発表してしまう。
我々から言いますとね、そういった体質で権力の監視ができるのかというと、大変難しいだろうと思うのですね。
私も大学で、いくつか学生を教えたんですけど、いまの学生はほとんど新聞を読みませんね。新聞に対して、権力批判を期待していない、あるいは私のような古い人間も、第4の権力といわれる新聞が権力を監視できるのかというと、大いなる疑問を持たざるを得ないと思います。





